
2009.07.1 更新

「モニターを見ていて、ビヨンが無線でトラブルの状況を伝えてきた段階で、残念ですがレースとしては“終わったな”と思いました」と伊藤。スタッフの懸命な作業にもかかわらず、修復に約15分を要し、ビルドハイムが再びコースに戻ったのは午後4時34分。ENEOS SC430は8周遅れで復帰を果たしたが、上位入賞の可能性はないに等しかった。修復後のENEOS SC430は問題なく、ハイペースで周回を重ねるものの、ポジションはクラス最下位のままという状況。残り24周というところで、ビルドハイムから伊藤にドライバーチェンジした。
「結果はもう望めなくなっていましたが、それでもクルマの確認や来年に向けたデータを残しておきたかったので、気持ちを切り替えて自分のスティントはしっかり走りました」という伊藤は、無念を晴らすかのように終盤は上位のマシンを上回るハイペースで周回を重ねる。ENEOS SC430の39周目、上位陣にとっての47周目に2分1秒369という総合でのファステストラップをマークした。
「ペースはかなり良かったと思います。普通に走っていると、どんどん前のGT500のマシンに追いつくんですが、もちろんこちらは周回遅れですから、無理して抜きにいって迷惑をかけることもできないし、追いついては間隔を空けて、追いついては空けての繰り返しをしている中で、結果的にファステストになったという感じです」と振り返った伊藤。結局、ENEOS SC430は47周を走ってチェッカー。7周遅れの14位という結果に終わった。 「スタート前にGT-Rが見舞われたように、今回のようなトラブルはどこのチームにも偶発的に起こり得るものだったと思います。ただ、チームによると非常に入念にチェックをしていた箇所だっただけに不思議なトラブルでした。今回のセパンではSC430勢がかなり苦労をしている中で、何とかニッサン、ホンダの牙城を崩したいという気持ちが強かったし、自分たちにその力があっただけに悔しいレースになってしまいました。結果としてファステストラップを獲れましたが、そのパフォーマンスを本来はトップ争いの中で試したかったなというのが正直な気持ちです」とレース後、悔しさをにじませた伊藤。だが、いつまでもうつむいてばかりはいられない。
取材・文/田口朋典 写真/小林直樹
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