SUPER GT インサイドレポート

2009.08.05 更新

トップ奪取、ファステスト……この速さは間違いない!

一夜明けたSUGOは「下り坂」という天気予報にもかかわらず、朝から強い日差しが照りつけ、午前9時45分のフリー走行の段階で早くも路面温度が40℃を超える暑さとなっていた。このセッションでENEOS SC430は堂々のトップタイムをマーク。決勝に向けて万全の体制を整えていた。

日差しが強まり、気温31℃、路面温度46℃となった午後1時05分、いよいよ決勝のスタート進行が始まった。スタートドライバーは前回同様、ビルドハイム。ビルドハイムの手によって8分間のウォームアップを終えたENEOS SC430がグリッド最前列に着いた。ところが、スタート時刻の午後2時が近づくにつれ、最終コーナー方向の上空に真っ黒な雲が押し寄せ始める。雨の気配を確実に感じる中、ついに81周の決勝レースがスタートした。

第5戦SUGO

ポールスタートの#3 GT-Rを追うビルドハイムは1周目、2番手キープ。「スタートはまずまず。GT-R勢はストレートが速いので、簡単には抜けない。周回遅れの出現がポイントになるはず」と読んでいたビルドハイムは、序盤は#3 GT-Rとのギャップを図りつつ、アグレッシブな戦いを挑んでくる#24 GT-Rをけん制しながらのレース。前後のGT-Rとの間隔をコンマ数秒という接近戦で迎えた9周目、ビルドハイムはバックストレッチでスリップを奪い、馬の背コーナーへの進入で#3 GT-Rのインを伺うも、ここはトップ浮上ならず。しかし、その直後のSPコーナーふたつ目の立ち上がりで#3 GT-Rが周回遅れのGT300に詰まると、ビルドハイムはこの機を捉えて#3 GT-Rのアウト側に並び、そのまま最終コーナーでトップを奪った。

ビルドハイムはここからペースアップし、16周目に1分19秒178というファステストラップをマークするなど、トップを順調に快走していた。ところが、このころからSPコーナーあたりで霧が出始め、25周目あたりからポツポツと雨粒がピットロードを濡らし始めた。

これを見ていち早くレインタイヤに履き換えるライバル勢を尻目に、徐々に路面が濡れていく中でもENEOS SC430はスリックタイヤのまま。これによって20秒近いマージンを築くことになったが、ENEOS SC430がホームストレートを通過し34周目に入った直後、突然雨脚が強まった。チームはピットインを決断、ビルドハイムをピットに呼び寄せ、ENEOS SC430のステアリングは伊藤に託された。

これがSUGOの魔物なのか

強まる雨の中、給油と深溝のレインタイヤへの交換を終えたENEOS SC430がピットアウト。この時点で2番手には#1 GT-Rが浮上してくるが、ENEOS SC430はトップを譲ることなく、そのままレースに復帰した。素早くタイヤを温めた伊藤は約3秒差にまで迫っていた#1 GT-Rとの差を再び広げ、水煙の中で勝利を目指し、周回を重ねていった。

第5戦SUGO

ところが、残り30周を切ったあたりで雨脚が弱まってくると、高い気温のためか、路面は急に路面が乾いていく方向に。「後半を考えて、タイヤをセーブしつつ走っていた」という伊藤は微妙にラインを変え、水の多い路面を選んで走るなどうまく対応。しかし、完全に止むわけでもなく、ときには再び雨粒が落ちてくるという読めない天候の中でゴールに突き進む伊藤に、突如異変が起きた。

「路面が乾き始めると、タイヤの溝がどんどんなくなっていって……。周回数が予定より長くなったこともあって、スティントの序盤からタイヤの消耗を想定してていねいに走っていたんですが、残念ながら徐々にリヤ、フロントとグリップを失い始めたんです」と伊藤。一時12秒ほどのマージンを持っていったENEOS SC430だったが、路面が乾き始め、浅溝タイヤを選んでいたクルマたちのラップタイムが1分27秒台、1分26秒台と上がり始めても、なかなかペースが上がらない。見る間にENEOS SC430の背後には#1 GT-Rが張り付く。絶体絶命だ。

「雨が止んでしまってからは、タイヤを労わって走りながらも、後ろから追い上げてきているというのが分かったので、ある程度プッシュしなければならず、その結果、最後にはもうどうすることもできないような状況になってしまった」  戦う術を失ったENEOS SC430は#1 GT-Rにトップの座を明け渡すと、「頑張れ、まだ雨が降るかも知れないぞ」というピットの祈りも空しく、さらにポジションを落とし、終わって見れば5位でチェッカー。気まぐれな天候が、つかみかけた今季初勝利をLEXUS TEAM LeMans ENEOSから奪っていった。

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