SUPER GT インサイドレポート

2009.09.02 更新

チャンスが来た!

決勝日の朝の鈴鹿はやや雲が多いものの、まずまずのレース日和。前日の予選終了後、特別に設けられた30分間のナイトセッションで、ENEOS SC430は1分56秒441のトップタイムをマーク。気温、路面温度ともに上昇した日曜朝のフリー走行でもビルドハイムから伊藤へと順調に周回を重ねた。このセッションは1分58秒304で5番手となったが、その後のサーキットサファリの時間帯を前に新たなセットアップをさらにトライ。ここでは1分57秒台で周回できたということで、チームは大きな自信を持って午後3時からの決勝を迎えていた。

ところが、万全を期して迎えた決勝を前に、グリッドで準備を進めるチームスタッフの表情が曇った。雨が降り始めたのだ。スタートドライバーを務めるビルドハイムはグリッド上で待機していたものの、表情をしかめながら空を見上げた。マシンの傍らに立つ土沼広芳監督、伊藤、山田エンジニアらの表情もこわばった。路面温度の高くなることを想定して選んだハードタイヤだが、雨によってその利が生かせなくなってしまう可能性が出てきたからだ。

第6戦鈴鹿

「ちょっと運がないなと思いましたね。雨がパラつき、日差しが翳ったことでハードを選んだ意味が薄れてしまったというか、路面温度が朝のように高いままであれば、柔らかめのタイヤを選んでいるクルマがもっと苦しんだはずですから」

しかし、雨は強まることはなく、決勝がスタート。700kmの長丁場ということもあって、ビルドハイムは序盤は無理をせず、ポジションキープの3番手を走行。チームはその後、トップの#35 SC430が28周終了時点でピットインし、自動的に2位に浮上した直後の30周終了時、ビルドハイムをピットに呼び寄せた。

「ビヨンも焦らず、トップと僅差の状態で良いレースをしてくれていたので、このままならチャンスがあるぞと思っていました。ピットインは、予定よりもわずかに早めでしたが問題はありませんでした。ただ……」と伊藤。「ピット作業でミスがあったので、ストップ時間がかなり長く感じたし、ピットアウトしたときの順位関係が気になりました」

伊藤がコクピットに収まり、リヤタイヤ交換、給油を終え、あとはフロントタイヤ交換のみというところでナットがガンから外れてしまい、右フロントの装着に手間取ったのだ。

「ビヨンもインラップで大きく引っ掛かっていたようで、ピットのミスもあってコースに出たときにはもう、#35 SC430が1コーナーに入っていくのが見えて。“あんなに差が付いてしまっている!”と驚きました。結果的にレースが落ち着いたときには、トップと14~15秒の差ができてしまっていたのですが、一番痛かったのは後からピットアウトしてきた#8 NSXに前に入られたこと。僕の前に#3 GT-Rがいて、その前に#8 NSXが出てきたんです。リヤのみ2本交換の#8 NSXはペースが悪く、結果的にそれに付き合わされてトップとの差が少しずつ開くことになってしまった。早く抜きたいという気持ちがありましたが、“落ち着けよ、無理して接触しては意味がない。必ずチャンスは来る”と思っていました」

この伊藤の言葉どおり、41周目のシケインで#3 GT-Rが#8 NSXのインを突いてパス、#8 NSXがオーバーランした機を捉えた伊藤はそのまま1コーナーで#8 NSXをパスして3番手に再浮上を果たす。次なる伊藤のターゲットは#3 GT-R。「向こうが速いところと、こちらが速いところが違っていたので、これならば抜くチャンスはあるなと。おそらく、GT300などに引っ掛かったときがチャンスだろうと思っていました」と、じっくりと前の#3 GT-Rとの間合いを詰めた伊藤は、55周目のシケイン立ち上がりでGT300に詰まり、加速の鈍った#3 GT-Rに並びかけると、1コーナーで見事にオーバーテイク。狙いどおり2番手に上がると、58周終了時にトップの#35 SC430がピットインしたことで、ついにラップリーダーに躍り出た。

「2番手に上がったところで、自分のタイヤの状況にも余裕があったので、まだまだいけると感じたし、山田エンジニアにも無線で“プッシュだ!”と伝えて。そこからは猛プッシュしたんですが、なぜかタイムに影響しやすいところで、決まってGT300に引っかかってしまうんです。うまく行けば1分58秒台で走れそうなほどなのに、引っかかって2分あたりのラップが続いてしまった」

そう悔しがる伊藤だが、それでもENEOS SC430はトップを快走していた。しかし62周目、クルマに異変が発生した。

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