SUPER GT インサイドレポート

2009.11.18 更新

今季初の表彰台が見えてきた

23周目にトップの#36 SC430がピットインしたことで、ENEOS SC430は#8 NSXに次ぐ2番手に浮上するが、レース折り返しとなる27周目、ENEOS SC430も満を持してピットイン。メカニックたちのピット作業も迅速に終わり、伊藤は6番手でレースに復帰。1分48秒台のラップを連発しながら、前を行く#36 SC430とのギャップを徐々に詰め始める。

32周目、ついにトップの#8 NSXがピットに入ると、翌33周目には暫定首位となっていた#32 NSXもピットへ。これでGT500全車がピット作業を終えたことになり、「ビヨンも頑張ってトップについていってくれていたし、ピットアウト直後は少し前と離れてしまったかな、とも思ったのですが、タイヤが温まってからのパフォーマンスが良かったので、とにかくトップの見えるところで常にレースをしようという思いがあった」と語った伊藤は、その言葉どおり、この時点で約5秒差の3番手につけていた。

ここからの追い上げに期待が掛かったENEOS SC430だったが、35周目に5コーナー付近でGT300のマシンがエンジンブローに見舞われて炎上。コース上に多くのオイルが出たこともあり、セーフティカーが導入されることになった。ところが、コース清掃などを終えたセーフティカーがコース外に退去した39周目のリスタート直後から、ENEOS SC430はいったん冷えたタイヤが思うようなパフォーマンスを発揮せず、伊藤は予想外の苦戦を強いられることになってしまう。

第9戦ツインリンクもてぎ

「ペース的には#36 SC430をかわして、トップの#8 NSXにもアタックを掛けたいな、というくらいのフィーリングだったのですが、その矢先にセーフティカーが入ってしまって。そこでいったん冷えたタイヤが再開後、いきなりグリップダウンしたんです。とくにフロントタイヤがひどくて……。セーフティカーが入らなければ、あのまま最後まで速いペースでいけたと思うんですが」と伊藤。それでも、前を行くP#36 SC430に迫っていくENEOS SC430だったが、ここで思わぬ強敵が出現する。ハイペースで追い上げてきた#17 NSXだ。

#17 NSXは、ENEOS SC430に次ぐ4位を走行していた#38 SC430を接触しながらも50周目に捕らえると、さらにその勢いでENEOS SC430にも迫ってきた。「ここまで応援してくれた人たちのためにも、なんとかこのまま表彰台圏内でフィニッシュを」とENEOS SC430に鞭を打った伊藤だったが、#17 NSXの勢いは圧倒的で、51周目の1~2コーナーでENEOS SC430は#17 NSXの後塵を拝した。

53周レースの残り3周というところでの4位への後退は無念というしかないが、「かといって、あそこで無理に抑えていたらおそらく接触していたと思う。悔しかったけれど、タイヤがそういう状況になってからは攻めるのも難しく、明らかに向こうのペースが上だったし、その周の最終コーナーでGT300に引っ掛かって加速が鈍ったところを1コーナーでうまくインを差されてしまった」と無念さを滲ませた伊藤はさらに、「今年は自分たちはもちろん、応援してくれている人たちにも我慢をさせてしまうようなレースが続いていた中で、どうしても表彰台に立ちたかっただけに、ものすごく悔しい気持ちでいっぱいです」とレース後に語った。

チームとクルマのレベルは間違いなく上がっている

第9戦ツインリンクもてぎ

「とはいえ、最終戦は出鼻をくじかれたレースウィークでしたが、その中で予選も3番手まで行きましたし、決勝も4位ということで、そういう位置でレースができたということはまずまずだったのかなと。このレースにタイトルの行方が懸かっている難しい状況の中で、自分たちが思うようなレース運びができる位置からスタートし、そこから常にトップが見える位置で戦い、ちゃんとゴールすることができたということは、まだまだ完璧ではないものの、ひとつの形になったように思います。今季は簡潔に言えば、歯車が合わないシーズンだったというか、クルマのレベルが上がっていく中で、新たな課題が見えた1年でした。結果が出なかったことは非常に残念ですが、去年培った経験をもとに今年の新体制を作ったように、ステップのひとつという考え方でいけば、今季も充分に意味のある、必要なシーズンだったんじゃないかと思います。僕たちドライバーはもちろん、チームのスタッフも悔しい思いをしていると思いますから、このチームで3年目の挑戦となる来季に、必ずつなげていきたいですね。今年1年間、ENEOS SC430を応援してくれた方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。結果でお返しできなかったのは残念ですが、いつも温かいご声援をどうもありがとうございました!」と夕闇迫るツインリンクもてぎで、伊藤は今季の応援に感謝するとともに、来季への飛躍を固く誓った。

取材・文/田口朋典 写真/小林直樹、上尾雅英

第三者の目から見たENEOS SC430

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