Daisuke Ito Inside Report 伊藤大輔インサイドレポート


路面コンディションに手を焼くも順調

 開幕戦鈴鹿ではENEOS SC430としての初優勝にこそ届かなかったものの2位表彰台を獲得し、2010シーズンの好スタートを切ったLEXUS TEAM LeMans ENEOSと伊藤大輔。わずか2週間という短いインターバルで迎えた第2戦の舞台は、テクニカルコースとしても知られる岡山国際サーキット(岡山県)だ。

 金曜にサーキット入りしたチームスタッフ。山田健二エンジニアは、「開幕戦でのデータと、岡山での事前テストでのデータとを組み合わせた形でENEOS SC430の持ち込みセットアップを決めました。開幕戦2位という結果から積載することになった30kgというハンディキャップウエイトはそれほど大きくは影響しないと思いますが、ここではホンダのHSV-010勢が速いでしょうから、厳しい戦いになるかもしれませんね」とコメント。「しかし、いろいろ準備はしてきていますよ」とレースウィークを前に上位進出への自信をうかがわせていた。

 今大会は、土曜日午前の公式練習は1時間のセッションが2回という変則スケジュール。サーキット周辺は桜の花も満開という4月上旬ながら、路面温度は5℃前後と冷え込んだ中で、午前8時20分からの公式練習1回目がスタートした。だが、路面コンディションが良くなく、その好転を待って、伊藤はENEOS SC430とともにしばらくピットで待機。コースに出たのは、開始から45分が経過した午前9時05分のことだった。

 しかし、このセッションはやはり路面コンディションが悪かったこともあり、ENEOS SC430はわずか8周の計測に留まり、ベストタイムは1分25秒766で8番手。相方のビヨン・ビルドハイムはステアリングを握ることはなかった。

 続く2回目の公式練習は午前10時15分から。ここでは気温も上昇。セッション開始と同時に伊藤がコースインし、序盤のうちに1分25秒447をマークして早々にモニターのトップにENEOS SC430を押し上げると、その後はピットイン&アウトを繰り返し、タイヤ評価やセットアップを進めて行く。セッション中盤、ピットアウトした伊藤はタイヤを温めるためウェービング(クルマを左右に振る)しながら周回、計測15周目に1分25秒300を記録し、一時下がっていたポジションを2番手に押し上げ、午前10時52分にビルドハイムにバトンタッチ。このセッションは3番手とまずまずのポジションで公式練習を終えた。
「ちょっと路面温度が低すぎですね。一応決勝レースで使えそうなタイヤで走ったんですが、レースのシミュレーションをするにはコンディションが悪すぎるので、クルマの状況を判断しにくい状態でした。午後の予選2回目に向けたセットアップの方向性も硬めのタイヤで見ておかなければならなかったですから。路面温度の変化と、予選でソフト系のタイヤを履いた時のクルマの動きを予想しつつ、セットアップを進めたんです」と公式練習を振り返った伊藤。この伊藤の言葉どおり、チームは難しいコンディションの中で午後0時55分からの予選1回目を迎えた。

重いハンデウエイトでもS3進出

 開幕戦と同じく、ノックダウン方式(3回のアタックセッションがあり、S1=セッション1回目=でタイム下位3台が脱落し、上位10台がS2に進出。下位3台の11~13番手はここでグリッド決定。S2ではタイム下位3台が脱落し、上位7台がS3に進出。下位3台の8~10番手はここでグリッド決定。S3に進出した7台が上位7番手までのグリッドを決める)での予選を採用しているこのラウンド。予選1回目は両ドライバーの基準タイムクリアが最大の目標だが、もちろん予選2回目に向けたクルマ作りという仕事もこなさなければならない。まず、セッション開始と同時にコースインしたのはビルドハイム。1周していったんピットに戻ると、すぐさま再コースイン。ゆっくりとタイヤを温めながら1分32秒台、1分28秒台とタイムを縮めていくと、6周目に1分26秒836にまでタイムアップして、ステアリングを伊藤に託す。

 午後1時11分にピットアウトした伊藤は、自身の計測3周目に1分26秒586とタイムを更新すると、その翌周には1分26秒172にタイムアップ、いったんENEOS SC430を3番手に押し上げるとピットへ。その後、ピットイン&アウトを繰り返した伊藤はタイムの更新こそならなかったものの、予選2回目に向けた準備を十二分に整えた。

 この予選1回目を5番手でクリアして迎えた午後3時20分からの予選2回目。GT500クラスのS1(セッション1回目)は気温14℃、路面温度27℃と、午前中よりは日差しが強まり、コンディションも好転していた中で始まった。ところが、伊藤が1分28秒484で3番手につけ、その翌周、本格的なアタックを終えようと伊藤が最終コーナーを立ち上がってきた時、他車のコースアウトによってセッションは赤旗中断に。このため、セッションは残り3分での再開となった。伊藤はワンラップのみのアタックとなったものの、プレッシャーにも負けず1分24秒310をマーク、無事5番手でS2(セッション2回目)へと駒を進めた。
「ちょっとガックリ来ましたね。赤旗の提示タイミングにより1分24秒1のタイムが抹消される形になってしまいましたし、タイヤとしてはおいしいところを失ったような状態でもう一度アタックしなければならなかったですから。ただ、それは僕だけではなく、かなりの台数が同じように充分な計測ができていないという状況でしたから、たとえタイヤのグリップが落ちていても、きちっとアタックさえすればタイムはなんとか出るだろう、S1をクリアできるだろうと思っていました。だから、あまり焦ることなく、冷静にドライビングに集中できました。赤旗中断前のフィーリングとしても、“ああ、これなら普通にS1をクリアできる程度のタイムは出るな”と思っていましたし、予想しながら進めてきた予選用セットアップも的を外していないという手応えがありましたからね」と伊藤。続くS2はビルドハイムがアタッカー。序盤のうちに1分24秒215というまずまずのタイムを刻むと、6番手でS3への切符を手にした。

 最終のS3では、再び伊藤がENEOS SC430のコクピットに座り、タイムアタック。S3に進出したクルマはS3で履いたタイヤを決勝レーススタート時にも履くことを義務付けられており、ENEOS SC430の履いているタイヤはS1、S2で履いたものとは異なる。ゆっくりとタイヤを温めた伊藤は1分33秒066、1分27秒927とタイムアップしていくと、その翌周に1分24秒395をマーク。この時点では3番手につけたENEOS SC430だったが、その後のライバルたちのタイムアップによって最終的には5番手に。ENEOS SC430は日曜日の決勝を5番グリッドからスタートすることになった。
「正直もうちょっと行きたかったかな、という一日でしたね。路面温度が午前に低かったために難しい状況になりましたが、それなりにこなせたかなという感じです。基本的にはS1、S2ときちっとクリアしていけるだけのセットアップの方向性も出せていたと思いますし、最後のS3では決勝のスタート用タイヤに合わせ、セットアップを微調整してのアタックでしたが、それもちゃんと良い方向に行ってくれました。正直、チームも僕ももう少し前のグリッドからスタートしたい、という気持ちはありつつも、こうした状況の中で最低限、自分たちが取るべきグリッドは確保できたという印象です。決勝については若干ハード寄りのタイヤを選択したわけですが、今日のノックダウン予選の後半あたりには路面温度も30℃近くまで上昇していましたから、それくらいの状況ならば僕たちが選んだタイヤでもスタート直後のウォームアップも気にならない程度でしょう。ただ、逆に長い周回を使うという戦略を採った場合、消耗という点で“大丈夫かな……?”という不安もありますね」

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