Daisuke Ito Inside Report 伊藤大輔インサイドレポート


慌てずにレースを重ねていくふたり

 日曜日朝のフリー走行、ENEOS SC430はビルドハイム→伊藤とバトンタッチしながら決勝へのフィーリングをチェック。このセッションではあくまで決勝用セットに終始し、前日よりも気温・路面温度の上昇が見込まれる午後の決勝に向けた最終調整を終えた。

 迎えた午後2時からの決勝。スタートドライバーはビルドハイム。「30kgのウエイトハンデが、レースの長いスティントの中でどんな影響を与えるか読めない部分もあるし、気温もやや上がっているから、タイヤマネージメントには特に注意が必要だね」。フォーメーションラップを終えてメインストレートに戻ってくると、グリーンランプと同時にスタートダッシュ。

 序盤はリスクを避け、ポジションキープの5番手での周回を重ねていく。3番手#12 GT-R、4番手#35 SC430を追走しつつ、背後の#23 GT-R、#1 SC430ら強豪たちのプレッシャーと戦いながらの周回が続いていたが、9周目の最終コーナーでGT300クラスのマシンに詰まったところをうまく利用され、10周目の1コーナーで #1 SC430の先行を許し6番手に。そのまましばらく周回を重ね、24周目には前の#35 SC430を攻略し5番手に返り咲くと、再び4番手の#1 SC430を追い詰めていく。

 上位陣が次々とピットインしていく中でビルドハイムは47周終了時にピットイン、伊藤に後半を委ねる。ここでチームは必要以上のリスクを避け、タイヤを4輪ともに交換する作戦を選択、伊藤をコースに復帰させた。ところが、ライバル陣営の中にはタイヤ無交換やリヤタイヤの2輪のみの交換など違った戦略を採るチームもおり、この状況の中でENEOS SC430は7~8番手あたりでのレース復帰となった。しかも、伊藤はコースに戻った直後に接触しながらの激しい攻防を挑んできた#8 HSV-010にアトウッドカーブ進入でインを突かれ、やむなく8番手に後退。ここからENEOS SC430は#8 HSV-010や#100 HSV-010、追い上げてきた#17 HSV-010ら、ホンダ勢との激しい接近戦を演じることになる。

迫り来るライバル勢との攻防の中で

 一時は2位につけていた#35 SC430がペナルティーで後退し、7番手に浮上した伊藤だったが、2台のHSV-010との緊迫した三つ巴の攻防は延々と続いていた。序盤の接触によってENEOS SC430はアライメントが本来のものからずれていながらも、伊藤はコンマ数秒差で前のライバルにプレッシャーを掛け続けていた。しかし、オーバーテイクのチャンスはなかなか訪れない。逆に56周目のヘアピンでは、背後からレイトブレーキングでインを突いてきた#17 HSV-010に一瞬先行を許したが、その#17 HSV-010が止まりきれずに前でスピンするという緊迫の状況も味わうことに。

 7番手のまま我慢の周回を重ねていた伊藤は67周目、無交換作戦を採りタイムの落ちてきた#100 HSV-010をパスし6番手に浮上すると、76周目の最終コーナーでは#8 HSV-010のペースが鈍ったところを逃さずオーバーテイク。ENEOS SC430は残り7周で5番手に上がった。4番手#12 GT-Rは30秒近くも先んじており、残念ながらそれ以上のポジションアップは果たせなかったものの、ENEOS SC430は苦しいレースを乗りきり、5位というポジションでチェッカーを受けた。

「結果的には良かったというか、きちっとポイントを獲れたことが一番の収穫だったかなと。個人的にはレースの内容は正直苦しかったです。何台かのライバル陣営がタイヤ無交換作戦や2本交換作戦を採ってきたので、週末を通じてそのあたりのことで頭を悩ませることが多く、我々としてもその可能性を考えはしましたが、予想よりも路面温度が上昇したことで、セオリーどおりの(4本交換)作戦で行きました。コースレイアウト的にホンダのクルマに合っているということで、HSV-010勢と団子になって走っているときもストレートスピードの優位性もほとんどなく、本当に辛いレース展開ではありました」と汗を拭いつつレースを振り返った伊藤。「しかし、取りこぼしなくポイントを獲っていくという今年のテーマの中で、粘って5位を死守できたことは良かった」と終わったばかりのレースを評価した。 「序盤の2戦を、3位‐3位、くらいで乗り切れればと考えていたんですが、結果として2位‐5位。3位‐3位の場合とポイント差はありませんが、ポイントリーダーとして次戦の富士スピードウェイ(静岡県)に臨めることはある意味、予定どおり。順調にプログラムは進んでいます」と山田エンジニア。次戦はさらに重くなり、ハンデウエイトはもっとも重い42kgとなる。トップハンデを背負いながらも、高速サーキットである富士でENEOS SC430がどのような戦いを見せるかに注目したい。

文:田口朋典(Tomonori Taguchi)
写真:上尾雅英(Masahide Kamio)

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