Daisuke Ito Inside Report 伊藤大輔インサイドレポート


未知の領域

 前戦の岡山国際で5位に入賞したENEOS SC430はシリーズポイントを21とし、堂々のポイントリーダーとして第3戦富士スピードウェイ(静岡県)を迎えた。

 長いストレートでの伸びはもちろん、1コーナー、ダンロップコーナーなどでのブレーキング、さらにはテクニカルなセクター3と、その攻略は簡単ではない。また、今大会は通常よりもレース距離が長い400kmのレース。予選ではスーパーラップが採用され、上位グリッドを得るためには予選でもそれなりのスピードが必要になる上、決勝ではドライバー交代を伴う2回のピットインが義務付けられるなど、戦略面でも通常よりも難度は高まっていると言えた。

 こうした戦いを前に、山田健二エンジニアは「400kmと長いレースですし、42kgのトップハンデを背負っていますから、ポールポジションを獲ろうとしても難しい」と、クルマは最初から決勝に合わせて来たという。しかし、その根底には別の大きなターゲットがあった。
「42kgというウエイトハンデはすでに未知の領域に入っています。昨年は40kgまでしかウエイトを積んだ経験がありませんし、オフのテストでもそんなにはウエイトを積んでいなかった。それだけに、今回は重いクルマでどう戦うかというのがひとつのテーマになるはずです」

 タイトル争いに絡んでいくということは当然、ウエイトがさらに増えていくということ。逆に言えば、ウエイトが重くなった時にどれだけのパフォーマンスを発揮できるかが、タイトルを争う上での必須のポイントとなるわけだ。ここまでの2戦で予想どおりの戦いを展開してきたENEOS SC430。さらなるレベルアップを果たすべく、他のレクサス勢とは異なる空力パッケージでこの富士に臨むなど、まさに重要な試金石となるべき週末だった。

トップハンデもスーパーラップ進出

 ゴールデンウィーク真っ只中の5月1日土曜日。富士山がその雄々しい姿をくっきりと現すほど雲ひとつない快晴の下、午前9時から行なわれた公式練習。伊藤大輔がステアリングを握ってコースインしたENEOS SC430は、いつものように早い段階で予選のバランスをチェック。開始10分で1分35秒340をマークしてトップに立つと、いったんは他車の先行を許すも、再び午前9時20分の段階で1分35秒198をマークしトップに。このセッションではビルドハイムも積極的に周回を重ねるなど、午後の予選、そして日曜日の決勝を見据えたロングランを行なうなどしたENEOS SC430は、ラスト10分を切るまでモニターのトップに居座る。最終的に、ウエイトハンデ14kgと軽い#35 SC430の逆転を許したものの、2番手と絶好のスタートとなった。
「他のチームがあまりしっかりロングランをやっていないのが不思議ですが、自分たちはタイヤの選択もセットアップも充分確認できたと思います」と伊藤。

 午後1時50分からの予選1回目ではトップ8に入らなければ、夕方のスーパーラップには進出できない。基準タイムをクリアすることはもちろん、上位グリッド獲得のためには絶対に上位でクリアしなければならないハードルだ。ここではまずビルドハイムがコースインし、1分37秒481で基準タイムをクリアすると、伊藤へ交代。ラスト10分のGT500専有時間帯でのアタックを想定したセットアップの調整を行ない、専有時間帯を迎えた。すでにGT300との混走時間帯に1分36秒台をマーク、トップ8に名を連ねていたENEOS SC430は、10分間のセッションが始まっても3分ほどピットで待機。午後2時32分、ようやくピットを離れた。コースインした伊藤は計測1周目を1分40秒480とすると、翌周には1分35秒567へとペースアップ。この段階で7番手につけたが、ライバル勢のタイムアップによってチェッカー提示後にはトップ8から陥落。ピットには緊張が走ったが、ファイナルアタックに入っていた伊藤はここで1分35秒028と一気にタイムアップ。3番手でスーパーラップ進出を果たした。

 満を持して臨んだ午後4時5分からのスーパーラップでは、ENEOS SC430は6番目のアタッカーとして登場。やや気温と路面温度が下がる中、伊藤はそこまでのトップタイムである1分34秒562を破り、1分34秒537でトップに躍り出るが、その後にアタックした2台に逆転を許す。それでも、トップハンデながら3番手という好グリッドを獲得した。
「全体的な流れとして、部分的な修正をしたい部分はあるものの、トータルで考えればクルマの状態はまずまずの仕上がり。トップハンデという状況を考えれば、順調に予選を終えられたと思いますし、決勝で上位フィニッシュして高得点を挙げ、シリーズ争いを優位に進めていくためにも3番手は非常に良いポジション。タイヤ無交換などの奇襲作戦を採るマシンもあるかもしれませんが、自分たちは明日のフリー走行でタイヤとクルマの状況を見極めた上で、おそらく正攻法でしっかり戦うと思います」

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