
酷暑で知られるスーパーGTシリーズ唯一の海外大会、第3戦セパン。F1マレーシアGPの舞台ともなるこのコースは、中高速コーナーの連なるチャレンジングなレイアウトに加え、高い気温と路面温度という、ドライバーにもマシンにとっても非常に過酷な舞台として知られている。前戦岡山では、決勝で予想外の苦戦を強いられノーポイントに終わったLEXUS TEAM LeMans ENEOSだけに、このセパンでは可能な限り上位でフィニッシュし、ポイントを稼ぎたいところだ。
「このセパンでは大量ポイントを稼ぎたいのはもちろんですが、その前にやらなければならないこともたくさんあります」というのは山田健二エンジニア。「前回岡山の決勝で、思うようなペースで走れなかった原因をきちんと探らなければ。そのためにいろいろ考えてきました」と、岡山での反省点を踏まえた対策を立ててきたという。
通常どおり2デイ開催となるこのセパン大会とあって、その走行時間は限られているが、まずは土曜午前10時から行なわれる1時間45分の公式練習で、伊藤大輔&大嶋和也のふたりは岡山での問題点を解消すべく、精力的に走り込んだ。
まず、セッション序盤にENEOS SUSTINA SC430のステアリングを握ってコースインしたのは伊藤。伊藤は2分02秒台のゆっくりとした周回から入ると、2分01秒台をマークした翌周、いきなり1分58秒944と、その時点での2番手タイムをたたき出すと、そこからピットイン&アウトを繰り返しながらセットアップやタイヤの評価を進めていく。
「いろいろ試してみたのですが、岡山のようには悪くはないし、想像しているとおりのクルマの動きになってきているので、まずまずかな」と伊藤。「もちろん理想を言えば、トップとはまだタイム差があるので、もっと詰めていきたい部分もありますけれどね。でも、周囲に惑わされずに自分たちの状況を見極めないと」。
こうポジティブに走行を振り返った伊藤からバトンを受け取った大嶋も、1分59秒台のタイムを刻むなど、順調に推移した公式練習のENEOS SUSTINA SC430。
「基本的に今回は大輔さんがセットアップをやるということで、はじめのうちずっと大輔さんが乗っていて、途中から僕がそのセットを確認してロングランを実施したんですが、フィーリングは良かったですね。ロングランでも岡山のような感じはまったくないです」と大嶋も走行後に手応えを語ったとおり、このセッションを5番手としたLEXUS TEAM LeMans ENEOSは、まずまずの滑り出しをみせる。
「予選を通して、もう少しクルマのレベルを上げていきたいですね」と語っていた伊藤。今大会は10台だけが参加できるスーパーラップ方式が採用されていることもあり、午後2時15分からの公式予選1回目は、ドライバーふたりの予選通過基準タイムのクリアとともに、トップ10以内のタイムをマークし、続くスーパーラップに進出することがターゲット。セッションは10分間のGT300専有時間帯を挟んで、混走の30分と専有時間の10分に分かれた構成となっており、まずは混走時間帯に基準タイムのクリアと、最後の10分間のアタックに向けたセットアップの仕上げをしなければならない。
やや曇りがちのせいか、気温34℃、路面温度44℃というコンディションの中、セッション開始と同時にコースインした伊藤は、約15分間を使ってセットアップの確認を行なって、ラストラップには2分00秒572をマーク。このタイムで充分基準タイムクリアは可能と判断し、チームは伊藤をピットに呼び戻し、ENEOS SUSTINA SC430を大嶋の手に委ねる。
ステアリングを引き継いだ大嶋は、1分59秒311までタイムアップ。午後2時45分、大嶋は混走時間の終わりを告げるボード提示前にピットに戻った。この段階で、ふたりのドライバーが基準タイムをクリアしたENEOS SUSTINA SC430だったが、ポジションは8番手。トップタイムの#46 GT-Rは1分56秒551というかなり速いタイムをマークしており、残るラスト10分のGT500専有時間帯でのさらなるタイムアップに期待がかかった。
午後2時55分からスタートしたGT500専有時間帯。アタッカーを務める大嶋は、他のライバル勢同様、開始から約3分経過した時点でピットを離れる。しかし、目の前には同じようにコンディションがいちばん良くなるセッション終盤を狙うライバル陣営のマシンがひしめくようにコースイン。計測2〜3周目でアタックできるよう、山田エンジニアが綿密に計算した上でピットアウトのタイミングを見計らったものの、今回のチームのピット位置が最終コーナー寄りだったことも災いし、コースイン1周目で大嶋は思ったようなペースで走ることができず、約3分を消費。さらに最初の計測を2分05秒220としたことで、残り時間が予想より大幅に少なくなってしまった。ピットのモニターで様子を見守る伊藤の表情も険しくなってくる中、翌周アタックラップとなる大嶋が最終コーナーを立ち上がってくると、そこへタワーからチェッカーが。
大嶋のこのラップは1分58秒570。本来ならば、もう1周アタックするはずが、あと数秒のところでチェッカーを受けてしまったENEOS SUSTINA SC430は、この時点で10番手。ぎりぎりスーパーラップ進出を果たしたかに見えたが、その直後にライバル陣営がタイムアップしたためENEOS SUSTINA SC430はなんと13番手まで後退。ENEOS SUSTINA SC430は、予想だにしていなかったスーパーラップ進出を逃すこととなってしまった。
「もう少しピットから早く出しておけば……」と悔やんだ山田エンジニア。アタッカーの大嶋も「クルマのフィーリングは良かった。もう1周あればスーパーラップには確実に進出できたんですが……」と悔しさをにじませたが、こればかりは時の運の部分も少なからずはある。この結果、ENEOS SUSTINA SC430は13番グリッドから日曜の決勝を戦うことになったのだった。