
前戦富士では順調に追い上げを敢行中、予想外のタイヤの消耗に見舞われたENEOS SUSTINA SC430は、第6戦を10位でフィニッシュし1ポイントの獲得にとどまった。チャンピオンシップを考えると、32ポイント差のランキング9位という現状から、逆転タイトルを目指すためには今大会での優勝は欠かせない。
第7戦の舞台は、シリーズ2年ぶりの開催となるオートポリス。大分県の阿蘇外輪山に位置する高地サーキットで、アップダウンに富み、バンピーでタイヤを消耗させる荒れた路面で知られるコースだ。
「確かにオートポリスは難しいコースです。しかし、前回開催時伊藤大輔選手は暫定ポールポジションを奪っていますし、ウエイトの重い状態でも、決勝中良いポジションを争っていました。今季新しくチームに加わった大嶋和也選手も、今季オートポリスで行われたフォーミュラ・ニッポンで表彰台を獲得しています。レクサスSC430というマシンのコース適性から見ても、チームの過去の実績から見ても、そしてドライバーの得意なサーキットという点からも、良い結果を持ち帰れるチャンスは充分にあると思います」
そう語るLEXUS TEAM LeMans ENEOSの山田健二エンジニアは、綿密なデータ分析の結果持込みセッティングを決め、そして持ち込むタイヤを選んだ。
「例年なら10月の第3週あたりに開催されるオートポリスですが、今年は第1週。時期的な問題で、やや暑さの残る可能性もありますが、路面が悪いために軟らかめのタイヤできっちり食いつかせる方向を狙ってみたいんです。そうすることで予選で前のグリッドを狙うことも可能になりますから」
こうして迎えたレースウィーク。走行開始となった土曜の公式練習でのENEOS SUSTINA SC430は、スタートから大嶋がピットイン&アウトを繰り返しつつ、午前9時42分と開始約20分のところで1分42秒622をマークし6番手につける。しかし、細かくセットアップ修正を行ないつつも、後半伊藤に代わってもそれ以上タイムアップすることなく10番手でこのセッションを終える。
「実は今回新しいタイヤを持ち込んでいるんですが、そのタイヤでの合わせ込みに走り出しからちょっと苦労して……」と、やや難しい表情を見せる伊藤。伊藤の走行中、ピットロードで何かを踏んだのか、右リヤタイヤがパンクするという小さな不運もあったが、公式練習終了から予選1回目までは、今回1時間15分しかインターバルがないこともあり、山田エンジニアもデータの見直しに懸命で、必ずしも順風満帆の滑り出しとは言えない雰囲気がピットに漂う。
しかし、このいやな流れをLEXUS TEAM LeMans ENEOSは見事に跳ね返す。午後零時からの公式予選1回目。まずは、伊藤がGT500占有時間帯で大嶋が履く予定のソフト系のニュータイヤでアタック、1分42秒040の好タイムをマークし、その時点での2番手に。スローカーに引っかかると基準タイムをクリアできない危険性のあるサーキットであることもあり、大嶋のアタックを見据えた確認の意味をかねてのニュータイヤ装着だったが、これが奏功しGT500占有時間帯で大嶋は1分40秒732をたたき出し、見事スーパーラップ進出を果たす。
迎えた午後3時17分からのスーパーラップでは、息を呑んで黒澤琢弥監督、山田エンジニア、伊藤らが見守る中、大嶋が5番目のアタッカーとして登場。第1ヘアピンでわずかにクリップを外すも、うまくまとめて臨んだセクター3で、大嶋はわずかにプッシュし過ぎたかラインを外してしまう。コースアウトした訳でもないのに、その瞬間にピット内では『ああっ!』という声が飛んだが、なんとかそのままアタックを終え、タイムは1分40秒537! 惜しくもその時点での2番手に留まったENEOS SUSTINA SC430は、最終的に7番手で予選を終えることとなった。
「自分的には、なんとかうまくまとめたつもりだったんですけどねぇ」と苦笑いする大嶋に、山田エンジニアは「コンマ3秒は落としたな。データを見直してその対策は見えてきたから、その分明日頑張れよ!」と叱咤激励。
伊藤も「新しいタイヤを使っているということもあり、前後のバランス取りに午前中は苦労しましたが、ドタバタはしたものの、色々試したことで午後に向けてまずまずまとめられた。ロングランなど決勝に向けてやらなければならないことは残っているし、100%まで持って来れたわけではありませんが、難しい状況からきちっと戦えるところまでリカバリーできたという手応えはありますね」と語るなど、ENEOS SUSTINA SC430は良い流れの中で土曜を終える。