
スーパーGTとフォーミュラ・ニッポンという国内モータースポーツのトップカテゴリーを一同に会して行われる特別戦、JAF Grand Prix FUJI SPRINT CUP。LEXUS TEAM LeMans ENEOSと伊藤大輔にとっては、初開催となった昨年見事な優勝を飾った思い出深いイベントのひとつである。
通常とは異なり、ふたりのドライバーがそれぞれ予選をアタックし、それぞれレース距離100kmのスプリントレースを戦うというこの一戦は、シリーズを戦い終えた各陣営にとって、「シーズンオフに向けてチームのモチベーションを高める意味でもこのイベントは重要ですし、クルマのセットアップの点でも1年の総決算と言いますか、シーズンを通じて続けてきたアップデートを最終的に検証し直すことができる。来季の開発に向けたキャリブレーションを実戦の中でもう一度しっかりとやることができる、最後のチャンスになるわけです」と語る山田健二エンジニアの言葉を借りるまでもなく、まさに大きな意味を持つ特別な一戦である。
「攻めた仕様でレースウイークに臨む」とした山田エンジニアだったが、あいにく走行初日の富士は肌寒い雨模様。午前9時30分からの1時間のフリー走行では、コースイン直後から多くのマシンがスピンやコースアウトを喫する難コンディションとなった。しかし、そこでのENEOS SUSTINA SC430は順調そのもの。セッション序盤は伊藤がステアリングを握り、不安定なコンディションとは逆に安定して常にモニターのトップ3に位置し続けると、後半にステアリングを引き継いだ大嶋和也も予選に向けたバランスの確認作業をしっかりとこなし、最終的に3番手でこのセッションを終えることができたのだ。
そのままの勢いで臨んだ午後2時20分からの第1レース予選は20分間。土曜に行なわれるこのレースを担当する大嶋は、徐々に雨脚が強まる中序盤に好プッシュをみせ、1分47秒578をマーク。今季チャンピオンを奪った#46 GT-Rにこそ届かなかったものの、堂々の2番手をつかむ。
「予選はまずまずでしたね。フリー走行からクルマは調子が良かったですし、雨も強かったですからとにかく20分間ずっと走り続けようと最初からプッシュしていったら、うまく序盤だけコンディションが良くて。しっかりタイムも出せたし、本当に良かった。ピットの位置が出口から遠いので、1〜2周目は先行車に対してしっかり間をあけたりしていた分、その間に雨が増えて行ったので、最初からプッシュしていたクルマよりは多少不利でしたし、それがなければ……」と、大嶋は会心の笑顔を見せる。
ポールシッターへの挑戦権が十二分にあったことを示唆した大嶋は、笑顔で「明日の決勝も大丈夫だと思います」とこの日のサーキットを後にすることとなったが、対照的な表情を見せたのは伊藤。第1レース予選の終盤以降にあまりにも雨がひどくなってしまい、なんと伊藤がポールポジションに挑むはずの第2レース予選は翌日の朝に順延となってしまったのである。
「このまま予選でも上位を狙えるだろうという手応えが充分にある中で、予想どおり大嶋がフロントロウを獲ってくれた。『よし、俺も!』と思っていたんですが……」と苦笑いを浮かべた伊藤は、「予選がディレイして順延の協議がされている間も、『もう頼むから、予選を再開してくれ!』って願っていましたよ(笑)。ヘビーウェットであっても、自分たちにとっては確実に上位が狙えるグッドコンディションだった。でも、『今すぐ予選をやろうよ!』との願いも空しく……(笑)」と、恨めしそうに語った。